船木の郷愁風景

山口県楠町<宿場町> 地図 <宇部市>
 町並度 6 非俗化度 8  −山陽道の宿駅であった町−
  


 楠町船木は山口県西南部に位置し、かつては採炭業で栄えた町も今は地方の小規模な自治体となっている。ここには旧山陽道が通り、藩政時代には長門国東端の本宿が置かれた古い歴史を持つ町である。
船木の町並




 岡崎八幡宮へ続く緩い坂付近の家並

大きな袖壁です。総二階がほとんどで壮観です。





 商店も昔ながらの妻入り町家のままで営業されていする姿が見られます。  醤油醸造業を営む旧家。むくり屋根が採用されています。
 



 
国道2号線が北側を迂回したために、旧宿場町の家並は今でも雰囲気を残し静かに息づいている。西は国道との分岐点に近い「茶屋」から東へ宿場街が延び、東は岡崎八幡宮付近の坂道まで約700mほどで、県道宇部船木線と交差する辺りに旅人荷付場跡がある。ここには常時駅馬十五頭と人足が待機し、旅人の世話をしていた所である。本陣や勘場(役所)も置かれ宿役人も居た。高札場は岡崎八幡宮付近に存在していた。
 町並は2階が漆喰に塗り込められた伝統的な建物が方々に残っており、平入りもあるが妻入りの占める割合が高い。そして2階正面には虫籠窓でなく角型の窓が複数並び、これらは九州の建築文化の影響が考えられる。そして屋根は島根県石見地方を中心として勢力を持つ赤瓦が目立ち、長門地方特有の町並景観を示していた。町並としては外部にほとんど知られることなく、特に目立って意識して建物の改修も行われていないようで、郷愁を感じる町並である。
 この町は街路の裏手に水路が巡り、それは現在も埋立てられることなく残っている。この裏小路の景観も風情があり、一本の街道沿いに細長く続く町ではなく複線形の町並が展開している。少なくとも地割・町割の面では、江戸期からの姿を良く残しているといえる。
 また、岡崎八幡宮は全国で3箇所しかない酒の醸造免許を持っており、正月と祭りの日に参拝者のみに振舞われる。
 

 
 

     ※楠町商工会のページに、岡崎八幡宮の記事があります。こちらよりお入りください。

街路の裏小路には水路が巡ります。

※画像は全て2003年12月再取材時のものです。

訪問日:2002.01.04
(2003.12.28再取材)
TOP 町並INDEX