古殿の郷愁風景

福島県古殿町<宿場町・在郷町> 地図
町並度 4 非俗化 10 −中通りと浜通りを結ぶ街道上に宿駅が設置され商業が発展−
 


 

古殿(竹貫)の町並 左は造り酒屋


 古殿町は阿武隈高地の南部、標高300mほどのところに市街地が開ける。太平洋に注ぐ鮫川沿いに狭い平地が展開している。
 
地理的に中通りと浜通りの接点に位置し、白河城下から石川を経由し湯本に抜ける御斎所街道が当所を通過していた。江戸期には米や塩などの物資輸送路として重要な役割を持っていた。町の中心である竹貫地区には宿駅が置かれた。
 竹貫地区は中世に竹貫氏の城下町として既に発達していたところで、竹貫宿時代には上町・中町・下町が形成され、各町に市場が立地していた。主に馬市・米市で賑わい、近隣の山村からの集客、物資も集まり商業も発達した。煙草の集荷・輸送も当宿で司っており、幕末頃にはそのための村会所も設置された。
 明治以降は農業の町としてコンニャクをはじめ酪農・養蚕が盛んに行われた。昭和30年宮本村と竹貫村が合併し古殿村(後に町)となる。
 街道はそのまま国道349号となっており、東側で分岐する県道とともに旧御斎所街道を踏襲している。この道は白河といわき市湯本地区を結ぶ最短経路でもあるため比較的交通量も多い。街道の両側には現役で営業される造り酒屋を筆頭に、商家を思わせる妻入りの建物、土蔵などが見られる。また新しい建物でも看板建築風に胸壁を立ち上げた姿も目に付く。それらからかつて多くの商店が建ち並んでいただろうことがわかる。
 所々空地となっているのが惜しまれるが、山間部に予想以上に大きな町場といった感触だった。
 
 








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訪問日:2023.04.01 TOP 町並INDEX