古市の郷愁風景

兵庫県丹南町<宿場町・市場町> 地図 <篠山市>
 町並度 5 非俗化度 9  −篠山城下町の門前的役割も果した宿場町−



 現在は篠山市の一部となっている古市地区は、最近まで丹南町域あり、さらに以前には古市村という独立した自治体をなしていた。町の中心は一本道に沿い細長く延び、そこに古い町並が残る。
古市の町並


 






 
 街道に沿って発展した町らしく町並は直線的に連なっています。しかし歯抜けのようになっている部分も多く見られ全体にさびれた雰囲気です。
 

 名が示すとおり市場町としても栄え六斎市が立っていたといわれ、
また江戸期以来、近畿と中国地方を結ぶ篠山の地は要害であり、この城下町を要に多数の街道が分岐していた。京都からは篠山街道が延び、姫路に播磨道が達していた。ここ古市からは大阪に直結する街道も派生し、追分の宿として栄えたとされている。
 現在残る古い家々は旧篠山街道、播磨道である一本道に限定されている。天明3(1783)年の記録では家数50軒、牛4頭、御役馬3頭であり、本陣も置かれた本格的な宿場であったといわれる。道は山裾の地形に沿って緩やかに起伏・カーブを繰り返しており、宿駅に適したものであった。
 連続して旧家が並ぶほどの家並は残っていないが、多種多様な形式に及んでおり、多くは切妻の平入りであるが、追分の道標が残る南側の坂道には入母屋の非常に豪勢な商家が存在感を示す。また妻入の旧家も数軒見られ、建築の博物館的な様相を示していた。もっとも、絶対数は少なく、建替え、そして人口の減少による取り壊しで更地となっているところも多く、
町としての活気は余り感じられなかった。
 現在では篠山を訪ねる観光客にも通過されるだけの町である。かつての宿場・街道集落らしい佇まいは何時まで保てるか、心許ないものがある。


訪問日:2003.09.07 TOP 町並INDEX