古川の郷愁風景

岐阜県古川町<城下町> 地図 <飛騨市>
 
町並度 7 非俗化度 3  −高山盆地の北辺の静かな城下町−



瀬戸川沿いの土蔵群



壱之町の和蝋燭商



壱之町の町並



瀬戸川沿いの土蔵群



弐之町の町並



殿町の町並


 飛騨地方の盆地に開ける古川町は、南に接する高山と双子の城下町ともいえる歴史を持っている。高山には金森長近が居城したが、古川城は子である可重によるものであったからである。町の中心街も壱之町、弐之町などと称される高山と同様の三町構成であった。
 町としての発展は以後高山が飛騨地方の中心となり、古川はさほどの発展を見なかった。小さな高山などと呼ばれるのはそのためで、町並の質や規模は一歩譲るが、ひっそりとした古いたたずまいを残し、趣深さを感じる。


 この町並を有名にしているのが、市街中心を流れる瀬戸川沿いの土蔵群であろう。この細い流れを境に武家町と町人地が分かたれていた。表通りの壱之町の裏筋にあたるため、商家の裏手の土蔵がこの流れに面している風景が展開する。その表情も様々で、また瀬戸川には色とりどりの鯉が放たれており、散策する人々の和みの風景ともなっている。
 一方で壱之町には造り酒屋など伝統的な商家が古く厳かな佇まいを見せており、価値の高い古い町並の風景を展開させている。店頭に和蝋燭を並べた三嶋商店も趣深い。
 古川では切妻平入りの都市型の町家が標準だ。古いものでも明治37年の大火で町の大半を焼失して以後の姿であろうが、なかなかどうして重厚さを感じさせる。それは家々の造りが北陸地方などとも共通する出桁造り(せがい造り)であるからだろうか。しかも桁を支える腕木の装飾が面白く、ここでは雲というのだそうだ。その彫刻模様は大工の誇りともいえるもので、飛騨の匠の象徴であろう。
 町のあちらこちらには、神輿を納めるための背の高い土蔵が散見される。これらは春に行われる古川祭に使われるものなのだそうだ。
 小さいながらも歴史深さを背景に町としての一つのまとまりを強く感じる。
 宮川の瀬音は町並に近く、喧騒は高山に比べ遥かに遠い。




※後半2枚:1994年3月撮影,その他:2008年6月撮影

訪問日:2008.06.08 TOP 町並INDEX
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