江の郷愁風景

三重県二見町【港町】 地図 <伊勢市>
 町並度 5 非俗化度 9 −名勝夫婦岩を背に展開する古い港町−
 







 二見町江地区は五十鈴川分流の河口付近左岸に家々のまとまりがある。
 古くから船漕などとして伊勢神宮の神事に従事する格式ある集落であった。江戸初期には一時鳥羽の九鬼氏の支配下となったが、寛永10(1633)年には神領に復帰している。
 河口部には港が発達し、廻船業を行う者が多かった。名産の味噌は江味噌と呼ばれ、近隣各地に積出されていたという。
 集落のすぐ北側の国道沿いは土産物店併設の大きな水族館があり、その北西側の丘陵を岬に回り込めば景勝地・夫婦岩に至るが、町並内は外来者の訪問は全くなく自然体の佇まいである。国道が河口付近で橋を渡り右岸側に建設されたため、街路や家並が壊されること無く古い建物が残ったのだろう。
 代表的な古い町並の景観は煉瓦の煙突のある醸造業を営んでいたと思われる建物で、母屋の両脇に板壁を巻いた蔵を従えており絵になる風景だ。このように漁村ではなく港そして廻船業を仲立ちとした商業で栄えたところであることが町を歩くとわかる。
 その他伝統的な建物はそれほど多く残ってはいないものの、いずれも伊勢地方らしい妻入り主体で板張の外装となっており、その質は高いものがある。




訪問日:2016.06.04 TOP 町並INDEX