佐貫の郷愁風景

千葉県富津市【城下町・港町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 7 −佐貫城の城下町と港を基盤に発展−




佐貫の町並(老舗の醤油店)


 
内房地区にある富津市。西は浦賀水道に面している。
 佐貫地区には室町時代中期に佐貫城が構えられた。中世後期は里見氏が城主となり西上総の統括にあたっていたが、天正18(1590)年の小田原の役により里見氏は安房一国に封じられた。その後徳川家康が関東に入封すると譜代大名であった内藤氏を佐貫に配し、2万石を与えた。佐貫藩が成立し、小藩ながら以後城下町として経過した。佐貫城は一時廃城となったが、宝永7(1710)年に三河刈屋から移った阿部氏が再建してそのまま明治維新を迎える。
 一方、佐貫港は周囲の山地で伐採された良質の木材の積出し港となり、江戸湾の入口に当たっているため海上警備の拠点ともなった。港町としての機能もあり、また房総往還も地内を通過していたことから、それらの結節点に町場が発達したのだろう。
 かつてを思わせる町並は内房線佐貫町駅からは東に約1km、国道127号と465号との交差点付近から東に見られる。この筋は港と佐貫城とを結ぶ街路だったのだろう。最も見応えのあるのは交差点近くにある醤油店だ。重厚な出桁造りの店舗の両側に土蔵を従え、江戸時代創業の老舗であることを示すに十分な構えであった。また付近には店蔵や土蔵、町家風の古い建物も見られる。今は町外れのようなイメージだが、古くは商業の集積があり、地域の中枢として賑わっていたのだろう。
 但し、現在は伝統的建物が連続した箇所は少なく、また建物自体も歯抜け状になっているところもあって、古い町並としての印象は今ひとつのものがある。
 










訪問日:2016.05.01 TOP 町並INDEX