林の郷愁風景
三重県芸濃町<農村集落> 地図 <津市> 町並度 5 非俗化度 10 −長屋門と土蔵が主役の風景 緩やかな丘陵地帯に展開する− |
林の町並 長屋門風の門や土塀など特徴ある風景が残っている | |
芸濃町は県の中部の内陸に位置し、平野部から山地にさしかかるあたりにあり、穏やかな丘陵が波打つ地形が広がっている。 ここで紹介する林地区は町域の北東部、そうした丘陵地帯の一角にある。林の地名は古くは中世の『神鳳鈔』(伊勢内宮・外宮の領地を明らかにした書籍)に記載されるほど古い歴史を持つものである。 古くは伊勢国奄芸郡に属し、津藩領ののち久居藩領にかわり維新を迎えている。東海道坂下宿の助郷村(街道の通行量が甚しい折に宿駅に関する補佐業務を行う村)にも指定され、また元禄11年には関宿の地蔵堂再興のために70人ほどの労働力を提供するなど、農業の他に当時の大交通幹線であった東海道に近いという地の利も活かし生計を立てていた。 自らも伊勢別街道に沿っており、伊勢参宮客を中心に通行も多かったのだろうが、今残る古い町並を見る限りでは街道集落的な色は微塵も感じることができず、町並景観を構成するのは長屋門を思わせる厳かな門を従えた豪農宅や、板壁が連なる邸宅型の旧家、そしてそれらに従える土蔵群である。助郷なども勤めており農家としても裕福な境遇だったのだろう。 旧明村の主邑であり、役場の建物は現存しており洋風の見応えある建物も残っている。戦後に芸濃町が成立した時にはここに役場が設置されており、後に椋本地区に移転するまでは町の中心であった。主要道路からは奥まった位置にあり活気は感じられないが、展開する家並は古い町並として格式ある佇まいであった。 |
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旧明村役場の建物 |
訪問日:2010.10.11 | TOP | 町並INDEX |
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