下呂温泉の郷愁風景

岐阜県下呂町<温泉町> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 3 −中世より知名度の高かった温泉町−

湯之島地区の町並 北に向うにつれ温泉観光地の色は淡くなる

 

 下呂町は飛騨地方の南東部、益田川沿いの小盆地に市街地が開ける。
 下呂駅が特急も必ず停車する高山本線の主要駅であるのは、町の大きさもあるが観光客の利用が多いからであり、東海三県では屈指の温泉地として知られるところである。
 千年以上前から現在の市街地東方の山地にある湯が峰で湯が湧いていたが、後にその湯が止まって河原で湧出するようになったという。一説によると一羽の白鷺が毎日河原に降り立つが見え、村人が確認するとそこに湯が湧き出していたとのことである。
 室町期には既に多くの客が温泉を求めて訪ねるようになっており、江戸に入ると年間3万人もの湯治客・入湯客があったと伝えられている。徳川家に仕えた儒学者の林羅山が草津温泉、有馬温泉とならんで下呂温泉をわが国を代表する温泉と讃えたこともあり、この頃には既に全国に知られていたようだ。三大文政8(1825)年の益田川の洪水により温泉街や源泉も潰れてしまい、一度は寂れたが明治9年に新しい泉脈が発見されてからは以前にも増して賑わい、現在の温泉地に引継がれている。
 温泉町としての雰囲気は市街地北部の湯之島地区に濃く感じられる。やや起伏のある地形に旅館や飲食店等が建ちならぶ。近代的なビル旅館も多く、土産物屋など観光地の風情だが、北に向うにつれ徐々にその色合いも淡くなっていく。二階建程度の木造の中小規模旅館が連なり、それらが古い町並的景観を作り出している。これがこの町本来の旅館街の姿だったのだろう。
 
 




共同浴場・白鷺湯





訪問日:2017.07.16 TOP 町並INDEX