長良橋北詰の郷愁風景

岐阜市長良他<商業町・河港町> 地図  
 
町並度 4 非俗化度 8 −伊勢や大垣などとの舟運で発展した町−






長良・長良福光の町並
 岐阜の長良橋界隈は川岸に鵜飼の舟が多数並び、シーズンになると多くの見物客で賑わうところである。付近には温泉旅館もあり、市内随一の観光地となっている。
 ここで紹介する橋の北詰地区は、中小の商店や住宅が目立ち、比較的落着いた佇まいを見せる。川向いの左岸堤防上にある玉井町などの界隈が食事どころや大型旅館等もあって賑わい、古い町並としても注目される一方で、この長良橋北詰の界隈はほとんど外来客の訪れがない。
 この界隈のもと上福光村・中福光村・真福寺村はかつて長良三郷と呼ばれ、ここから下流側を指して長良川と称し、上流側は郡上川と呼ばれていた。長良の港は上流側の上有知(現美濃市)、伊勢桑名への中継地として船や筏から荷が上げ下げされ、それをもとに商業が発達した。『濃州徇行記』によると、三郷全体で83艘の船を有し、桑名や大垣その他で船稼ぎをし、年貢米なども積下ろしたとある。上流からは木材や石、下流からは塩や灰などが荷として上下していた。
 長良橋の筋より一本東側の南北筋に往時の町並が姿を留めている。これが港に通じる街路だったのだろう。所々に袖壁を両妻部に構えた切妻の町家が見られる。連続した箇所が少ないのが少々残念であるものの、港から賑やかな商業町が連なっていたさまは十分想像することができる。
 長良の港は北側の内陸部にあたる山県地域などからの荷の発着場ともなっており、街道集落的な展開を示しているのも、それらの地域から物資が港に向う街道を使って持ち込まれたからだろう。
 










 

訪問日:2019.05.26 TOP 町並INDEX