塩屋の郷愁風景

和歌山県御坊市【漁村・街道集落】 地図
 町並度 4 非俗化度 9 −熊野街道に沿った漁村−

   




  

 御坊市塩屋地区は市街中心の南に河口を持つ日高川の左岸一帯を占める。
現在は埋立て等で海岸線が少し遠ざかっているが、かつては海に面する漁村であった。
 熊野街道の通過するところで、熊野への参詣者が多く往来し、熊野九十九王子社の一つが設けられたといわれる。中世までの様々な熊野詣を記録した書物や諸歌にも塩屋の地名が現れるものが少なくない。
 「白河院熊野にまうで給へりけるに御供の人々塩屋の王子にて歌よみ侍りけるに」
(『新古今集』)
 「しほ屋の浜にて片箱進上、此島は権現のとひまします島なり、飛島と申」
(『熊野詣日記』応永34年)

 江戸期には北塩屋浦・南塩屋浦と呼ばれ漁業中心に町場が栄えていたようだ。村に分かれており、街道に沿った漁村として町場が発達したようだ。また廻船業にも携わったという記録もある。明治後期になると、養蚕業や除虫菊の栽培など農業も発達した。
 国道42号線の一本内陸側に残る旧街道沿いに町並が展開しており、その一番の特徴が平屋の建物が多いことだ。御坊市の旧市街地でも平屋の建物が眼につくことから、この地区独特の建て方なのだろう。それらの多くは本瓦葺きであり、独特の町並景観を形成していた。
 現在見る町並の雰囲気からは、漁村というより街道沿いの小さな商業町といった印象であった。











 


訪問日:2015.12.29 TOP 町並INDEX