五戸の郷愁風景

青森県五戸町<商業町・宿場町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 8 −台地上に開ける坂の町 商業と交通の要衝であった−




 五戸町は八戸市の西約15kmに位置する内陸の町で、五戸川の右岸台地上に市街地が開ける。
 戦国期は三戸南部氏の家臣・木村氏の本拠地となっており、江戸期に入ってしばらくも五戸大官として留まっていたが、その後盛岡に移住した。しかし引続き五戸には代官所が置かれ、五戸通を統治した。
(通とはその代官所が管轄する地域という意)
下大町の町並 
 

 17世紀後半の元禄期には早くも三斎市と呼ばれる市が開かれ、五戸通の流通経済の中心として賑わいを見せ始める。浅水など周辺の諸村から紙・煙草・茶・真綿などの農産品、鮭・鱒・鰊などの漁獲品その他が持寄られた。
 一方交通面でも奥州街道の道筋で宿駅も開設されていたと記録されており、藩最大の貿易港であった野辺地と盛岡を結ぶ陸上交通の重要な拠点であった。上町と下町の2つの町が置かれ、上町は現在の下大町・上大町、下町は川原町付近であった。
 古い市街地は、県道113号沿いの下大町・上大町付近を中心に、直交する街路沿いにあたる新町付近にかけて連なる。前者を中心に商店街となっており、伝統的な建物というよりは看板建築などの昭和レトロな店舗の建物が古い町並を形成している。一部ではせがい造りの町家風建築、土蔵のある風景なども見ることができる。かつての上町が町場の中心となり、そのまま商業の中心として現在まで継続していることがわかる。
 上大町の南端付近には立派な鐘楼を持つ消防詰所の建物が存在感を示しており、町の象徴的な建物の一つともいえよう。
 




新町の町並




新町の町並 博労町の町並




上大町の町並 右の鐘楼のある建物は消防詰所

訪問日:2018.04.29 TOP 町並INDEX