郷ノ浦の郷愁風景

長崎県郷ノ浦町<港町・漁村> 地図  <壱岐市>
 町並度 4 非俗化度 7 −壱岐の南の玄関口 古くから島の政治経済の中心だった−

    


 


郷ノ浦の町並 大柄な商家建築も見られる


郷ノ浦町は島の南西部にあり、島内では最大の市街地を持っている。壱岐の行政、経済の中心であり、博多港からフェリーや高速船の往来もある。
 中世には亀尾城が港を見下ろすように構えられ軍事上の要となっており、朝鮮貿易の拠点ともなっていた。城には波多氏、日高氏などが構えたが、江戸時代になると全島が平戸松浦藩領となっている。
 幕府の巡検使はこの郷ノ浦に上陸し、島を縦断して勝本から対馬に渡るのを通例とし、その来訪は江戸期中に8回に上った。また藩主の巡見も郷ノ浦を基点として行われた。そのように交通面、政治面でも古くから島の中心であった。
 江戸期から定期市が立ち、また漁業も盛んで一つの完成された町場が発達していた。
 郷ノ浦港は沖に島を従えた大きくえぐれた湾の、さらに深く入組んだ入江にあるという恵まれた地形にある。フェリーなどの発着する港からさらにV字型に切れ込んでおり、その両岸に町が開ける。ホテルやビル建築も多くあり市街地を形成しており、歴史を感じさせる町並の風景は散在的で連続性は低く、古い町並としては残念ながらそれほど多く残っていない。しかし二階の立上がりが高い大柄な商家建築が港に沿って見られるかと思えば、少し路地を入ってみると平入りの町家風建築が見られたりと、随所に歴史を感じさせる佇まいが残っていた。
 その中で入江の奥を少し入った山手には、伝統的建物が連続した風景が小高いところから見下ろせる、見応えのある風景があった。島の中心としての繁栄を物語っているようだった。




入江から少し入ったところに見られる連続した町並風景
   
訪問日:2015.01.03 TOP 町並INDEX