江津の郷愁風景

島根県江津市<港町> 地図
 町並度 4 非俗化度 10  −江川河口の商港−





 本町の町並。江津駅から小高い丘を越えた
反対側にあります。
町の中心に残る酒屋。看板がその古さを物語ります。




土蔵が多く残る界隈は全く自然のままです。洋風建築も残っていました。


 

 島根県石見地方の中部沿岸にある小都市江津。文字通り中国地方一の流域面積を持つ江の川の河口に開ける。この川は河口部に平野を作らず、無能川などとも呼ばれているが、川運の集結するところ、海運へと連絡する河口港としての役割を長らく担っていた。
 山陰・山陽の境は多くが峠で阻まれているが、江の川は別で、山陽の領域まで遡り、三次などの商業都市を上流域に持っている。このため山陽側からの物資も街道を経由するもののほかこの江の川の舟運によるものも少なくなかった。
 江戸期には川から西は浜田藩領であったが、港のある江津(郷田)地区だけは大森銀山領(幕府領)であり口番所も置かれていた。上流からは木材・薪炭・楮が持ち込まれた。中流域には良質の砂鉄の生産地でもあり、鉄も主要な川下りの積荷となっていた。それらは北陸の米、瀬戸内の塩と交換されていた。
 現在町の中心は江津駅の周辺に移っているが、かつては小高い丘を挟んだ南側の川沿いが商港であった。この本町地区を歩くと、独特の赤瓦屋根で、漆喰を塗りこめた山陰らしい佇まいが多く残っているのに気付く。裏手に土蔵を従えた家々も多く、それらは漆喰が剥がれ落ち郷愁を誘う。古い家屋が多くを占める町並らしい光景はわずかになっているが時代を経て自然に残ったという雰囲気であり、自然体の町並はこざっぱりとまとまり好感が持てる。
 

 


訪問日:2003.09.23 TOP 町並INDEX