大島の郷愁風景

山口県萩市【漁村】 地図 
 町並度 6 非俗化度 9 −漁業が盛んな萩諸島最大の島−





 萩港から北8kmほどの大島は萩大島とも呼ばれ、1日4往復の旅客船で結ばれている。萩諸島の中では最も多くの人口を擁する島である。
斜面を駆け上がるような大島の集落


 




 昭和30年に萩市と合併するまでは、大島をはじめ相島・羽島・櫃島・尾島・肥島とならんで六島村という自治体を形成し、この大島に役場が設置されていた。諸島中最も東に位置し、面積も最大のこの島である。
 古くは壇ノ浦決戦に敗れた平家の落人が住み着いたのが起源ともいわれている。漁業の盛んな島で、現在も巻き網漁という漁法を中心とした漁獲が多く、港に停泊している漁船の数も多い。農業も行われているが、比率としては漁業の割合が大きく、その点大島に次いでの人口を持つ相島とは異なり、それは町並の雰囲気にも感じられる。
 集落は南部に密集している。港を挟んで西側に大きな集落、東側に一回り小さな集落がある。集落としての風情が感じられるのは主に前者の方だ。後者は比較的後になって拡大した地区なのだろう。海岸部に平地は少ないため、斜面そのものが集落地として切り開かれ、急坂のメイン道路から左右に派生する路地に沿い家々が連なる。路地の一段下の家屋は道路に屋根が接している。斜面が尽きると学校の敷地があり、そこから先には農作地が展開する。農業を営む家では仕事場とを行き来する小型の発動機付きの荷車があり、日常的な移動にも使用されているらしく荷台に人を乗せて走っている光景も見られた。軽自動車の荷台に何人もの子供を載せて走る姿もあり、いかにも島の移動風景である。
 僅かに展開する平坦地には立派な邸宅も散見される。土蔵を従えたもの、塗屋造りで出格子を持つものなどもあり、有力な漁家が主に居を構えた名残と思われる。あちこちに井戸があり、井戸を中心とした島の集落のコミュニティーが形作られていたのだろう。
 










訪問日:2015.11.22 TOP 町並INDEX