早岐の郷愁風景

長崎県佐世保市<宿場町・港町> 地図 
 町並度 3 非俗化度 8  −平戸藩領最南端の町として繁栄した−


早岐二丁目の町並 左は旅館建築


 佐世保市早岐地区は市街地から南東に10km弱、佐世保線と大村線の分岐駅としても知られている。
 鉄道交通のみならず古くから交通の面では重要な地で、平戸往還の宿駅がここに設けられ本陣も定められていた。この本陣は参勤交代時のほかに長崎出島の警備のための出向(長崎勤番)時の休息所としてもしばしば使われていたようだ。
 また早岐は平戸藩領の最南端に位置し、隣接する大村藩領との境界を控えていた事もあり軍事上の拠点としても重視され、藩は代官所を設けて代官を2名常駐させた。また眼前の針尾島戸の間に狭い早岐瀬戸があり、風波を避けるには絶好の港でもあった。背後に藩営の三河内山も控えていたためその積出などで大いに賑わった。交通・政治・経済それぞれの一大拠点であった。
 街道沿いや海岸に船問屋や商家が多く立地し、早岐茶市と呼ばれた物々交換市が行われた。早岐の商人はこの市で一年分の商いができたといわれるほどだったという。
 古い街区は駅の西側、バス通りを挟んだ海岸近くにある。中心を旧平戸往還が貫通しており、旅館建築をはじめとした伝統的な建物も見られるが、現在ではその密度が淡いのが惜しまれるところである。しかし、北部では一部に藩政期以来の石畳が残され、貴重な歴史遺産といえるだろう。
 裏手の川沿いに商家の土蔵が見られる風景などもなかなか絵になるものがあった。








街道沿いに残る石畳

訪問日:2018.01.02 TOP 町並INDEX