青鬼の郷愁風景

長野県白馬村【山村集落】 地図  
町並(集落景観)度 7 非俗化度 6 −美しい山岳・田園風景に囲まれた山村集落−




青鬼集落の風景 背後に水田 前景に飛騨山脈の山々が望まれる


 北安曇郡の北部に位置する白馬村は姫川という新潟県糸魚川市で日本海に注ぐ水域で、県内の多くを占める信濃川水系とは異なっている。村域の北部、その姫川右岸を細い支流沿いに遡ったところに青鬼集落がある。附近は意外にも眺望が開け、西には飛騨山脈の山々が望まれる。また集落の背後には広々と棚田状の水田が展開している。
 そのような恵まれた風光に抱かれて、独特の外観を示す農家が集落内に展開する。外観はかなり大柄で、かぶと造りといわれる屋根を持つ。いずれも平入りの形となっているが、妻側の屋根が斜めに流れ寄棟的な屋根の造りになっているので豪勢かつ厳かな印象を与える。外壁は梁組を表面に現した真壁となっている。
 この集落では水の利用がまた一つの鍵となっている。背後の棚田は幕末頃に集落民総出で行った水を引く工事で作られたものというし、飲料水は豊かな湧水に拠っているという。各種行事も大切に守られていて、ここが重要伝統的建造物群保存地区となったのも、家屋だけでなくそのような周囲の景観、集落の文化的貴重さも踏まえてのことなのだろう。
 小さな集落であるが、この大柄な家屋が数棟並ぶ光景は見応えのするものである。
 屋根はトタン葺きであるが、かつては萱葺だったとのこと。冬期は雪の多い土地であるから仕方ないが、これらが全て茅に戻されると、逆に人工的すぎて違和感を覚えることになるのかもしれない。
 









訪問日:2014.09.05 TOP 町並INDEX