白山の郷愁風景

東京都文京区【都市部の非戦災地区・花街】 地図
 町並度 3 非俗化度 8 −旧花街に由来する非戦災地区の風景−

 






 白山地区は本郷台地からは西側に外れた谷間となっている。坂上の西片地区には典型的な山手の高級住宅地が広々と展開しており、通して歩くとその町並風景の違いに驚かされる。戦時に焼き払われなかった地区でもある。
白山一丁目の町並




白山一丁目の町並 
 

 江戸時代にはこの一帯は町家地、そして武家地、寺領の門前地として町場化されていた。以前は指ヶ谷と呼ばれており、これは徳川家康が鷹狩をしていた折にこの谷間の地を指し示したといういわれから名付けられたといわれる。
 谷間の中心を白山通りが南北に貫き、その東側の山裾にかけての一帯にやや古い町並が見られる。それも表向きには近代的な住宅地であり、銭湯のたたずまいや、印刷工場などの昔ながらの作業場などが点在しどことなく昭和を感じさせる風景が展開している。
 その中で特異なのが白山一丁目界隈の路地で、花街として賑った頃の残照が濃厚に漂う奇跡的な風景が残っていた。抜本的な区画整理が行われなかったのだろう、車の通行できない路地が展開し木造の古びた家屋が高密度に残っていた。中には元遊郭建築もあるらしくそれらしい外観を示していた。飲食店として利用されているものもあり、石畳も残る路地風景は風情を感じさせる。

 周囲も閑静な地区で、小さな店舗や背の低い集合住宅などが混在し都心部とは思えないような風景が広がっている。しかし白山通りに出ると高層マンションなどが建ちならんでおり、南には後楽園遊園地と付属する巨大ホテルが非戦災地区の路地とは対蹠的な姿を現していた。





訪問日:2009.05.31 TOP 町並INDEX