国分町の郷愁風景

島根県浜田市<漁村・港町> 地図
町並度 3 非俗化度 9 −海岸の景勝地に接する石見瓦の集落−





 浜田市国分町は市の北部、日本海に面しており、景勝地である石見畳ヶ浦の近くにある。海水浴場もあり夏を中心に海岸部は賑わう。










 

 江戸期には下府村の枝郷として位置づけられていた。当時より唐鐘浦という漁村があり、近海漁業のほか明治に入ると対馬付近まで出漁していた。明治初期の記録では漁家200、農家132と漁業に比重を置いた半農半漁の村で、牛の養育が行われていたともある。船舶は荷船1に対して漁舟144とあるので港町というより漁村の要素が濃かった。
 町並は国道9号との間に面的な広がりを見せ、意外にも碁盤の目状の整った街路を有している。伝統的な建物は少ないものの、屋根瓦の多くは石見独特の赤褐色の瓦で占められ、山陰の町並らしい風情を感じることが出来る。この赤瓦も新旧や場所によりさまざまな色あいのものが見られるが、ここでは黒味がかったもの、一つの屋根でも不揃いな色が混じったものなど、渋い風合いを醸しだしている。
 現在の住所表示は国分町であるが、唐鐘という古くからの地名も生きているようで、唐鐘タクシーなどの名称も見られた。

 

          

訪問日:2015.07.19 TOP 町並INDEX