浜比嘉の郷愁風景

沖縄県勝連町【漁村】 地図 <うるま市>
 町並度 5 非俗化度 7 −本島と陸続きになりながらも素朴さが残る二つの集落−

   

 沖縄本島の中部に太平洋側に細長く伸びた勝連半島の先に幾つかの島がある。一見離島のようだが橋梁で結ばれており、特に平安座島との間は小島を挟んで3kmにわたる海上の道となり、海中道路として知られている。
 ここで紹介するのは平安座島の南西にある東西1km、南北2kmほどの浜比嘉島の風景である。ここも橋により陸続きとなっており、離島という感覚は薄い。
 付近の沿岸地域は珊瑚礁が発達し、一部の地盤が隆起しこれらの島が形成されたものである。
 
 島内には浜・比嘉の二つの集落があり、それが島名となっている。両集落は山にさえぎられ、交通が未発達な時代は両集落の交流は稀であったという。それは漁村という性格上、生産・移動手段を海に託していたこともある。現在でも周辺海域は好漁場となっており、魚影の濃いところとなっている。



浜の町並  




比嘉の町並




隆起珊瑚礁の島であり家々に接して石灰岩の露頭も見られる 比嘉集落を見下ろす 寄棟の正方形の屋根が特徴だ


 
 隆起珊瑚礁の島では集落はしばしば内陸部のみに形成されるが、それはサトウキビなどの農村集落の場合で、ここは漁村であるので海岸部に展開する。もっともこの島は珊瑚の島としては比較的山が険しいため、わずかに開けた平地しか集落は立地し得ないだろう。町並の特色は平屋、平面的にはほぼ正方形の寄棟屋根という沖縄らしい家々が多く見られる点である。本島地区ではこのような伝統的な形式の家屋は余り残っていない。明るい褐色の琉球赤瓦は少なく、簡易なコンクリート瓦などに葺きかえられているものも多いが、この寄棟屋根の家を見ると本土との文化の違いを強く感じる。
 比嘉地区にはリゾートホテルも見られるが、観光客を迎え入れる施設はこれだけで集落内には外向きの店舗などは全くなく、離島の集落らしい静けさやすこし寂れたような気配が漂っている。
 素朴な伝統的集落の少ない本島中南部地区にあって貴重な姿を残しているといえるだろう。
 
 

訪問日:2013.01.03 TOP 町並INDEX