浜島の郷愁風景

三重県浜島町<港町> 地図 〈志摩市〉
 町並度 4 非俗化度 8  −英虞湾口に開けた志摩半島南部の港町−

         










浜島の町並
 

 浜島町は志摩半島の南部、南に開けた英虞湾の湾口を占めている。
 市街地は湾に突き出した小半島付近に展開し、比較的まとまった家並が展開している。海岸沿いの車道が開通する前の幹線道路と思われる一本山側の道に沿い、やや古びた町並が連なっていた。商店街及び旅館街といったのが本来の姿だったらしく、商家風の建物が見られ、一部の旅館はまだ現役で営業されている。
 中世には浜島城が構えられていた当所は、当時から志摩南部の拠点として開けており、江戸時代には藩の浦役を納め、その品目は銀の他鯛・鰹・鰹節等の魚介類及びその加工品であった。また伊勢海老の漁獲も多く、現在でも主要な漁獲品となっている。
 江戸期には船乗りを相手に多くの遊女も存在していた。この地域の港町には遊興地区が多く発達しており、現在もその形を変えて営業を続ける島も存在する。浜島では廃れたが、家々の外観にはどこかしらその残影を見るようで、単なる港町の風情とはやや異なるものを感じた。幕末頃には他村からも多くの売春婦がここに押しかけてきていたという。
 伝統的な建物の割合は高いものではないが、家々の密集度はなかなかのものであり、旧道のその閉鎖空間的な眺めは郷愁感を覚えるに十分なものがある。暮らす人々の姿も多く見え、寂れていない感じも好感が持てた。
 

 
訪問日:2013.08.13 TOP 町並INDEX