浜坂の郷愁風景

兵庫県浜坂町【港町地図  <新温泉町>
 町並度 4 非俗化度 8 −廻船業で栄えた町 浜坂針が有名であった−



浜坂の町並
 浜坂町は県の北西端、西は鳥取県に接する位置にある。山陰本線が町の海岸部の集落を結んでいるが優等列車は少なく、また高速道路網からも離れているため、神戸や京阪からもかなりの時間を要する。






 江戸時代、浜坂は近隣の居組、釜屋、諸寄などとともに廻船業者が多くあり、浜坂では宝暦3(1753)年に22艘の回漕船があったとの記録がある。西廻り航路の隆盛の中で、蝦夷地から瀬戸内一帯まで幅広く航行して交易を行っていた。浜坂では魚介類のほか、鉄や金物、特に縫い針の生産が盛んな土地であったため、それをもとに他地域の物資も多く移入されてくることも多かったのだろう。これは後背地の山地で砂鉄生産が盛んであったことに起因している。中国山地一帯では和鉄生産が一大産業であった。このように但馬でも西部になると、中国地方の産業構造と類似した一面も見られる。
 漁業も盛んであったが、浜坂の町の基盤は陣屋町でもあり、また廻船業が町の発展に大きく寄与したという点で、東隣の香住とは或る意味対照的な歴史を歩んだところである。
 矢田川の河口付近に比較的大きな広がりを示す町並は駅前付近の東西の通りとその北西側の小路が錯綜する一角などに面影を残す。商家を思わせる大柄な旧家も見られるがその数はわずかであり、連続した古い町並というほどの残存度ではないのが少々残念ではある。
 古樹を従えた厳かな寺もあり、この町の深い歴史を物語っているようであった。
 




 

訪問日:2012.04.30 TOP 町並INDEX