浜崎の郷愁風景

山口県萩市<港町> 地図
 
町並度 6 非俗化度 6 −萩城下の商港−





 海産物問屋であった藤井家。大戸が見えます。
中庭を持ち離れを従えていると聞きます。
船具商であったという山村家。江戸末期の建築と推定されています。




 浜崎の町並は一般的な萩の町並イメージとは異なり小規模町家が連なり、細い路地が交差しています。


町域内には昔ながらの看板も幾つか残っていました。『漁網製造漁具船具金物』とあります。
 萩市の三角洲の北東端に浜崎町はある。ここは萩城城下町などの観光客で賑わう地域とはうって変り、団体どころか訪問客の姿も非常に少ない。しかしここは萩城下の海の表玄関であり、商船が次々と入港していたところである。土塀と長屋門の町並の陰でほとんど注目されることはなかったが、平成12年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されたことにより、少しは知られるようになった。重伝建地区でこれほど「そのまま」の町並は珍しいといえよう。
 藩主の御座船を格納した御船倉もかつては4棟存在していたという。昭和30年代までに多くが取壊され今では一棟が残存するのみとなっているが、このことだけでも浜崎がいかに重要な港であったかがわかる。
 町並は武家町とは大きく異なり、背の低い2階建ての町家が連なっており、港町らしい路地が巡っている。藤井家は屋号白根家、海産物問屋であった旧家で正面には大戸と蔀戸を構える。斎藤家は棟札から安政三年の建築とされ、坪庭には太鼓橋が架った優雅なものという。町並中心の角地に母屋と土蔵を見せる山村家は昭和初期まで船具商を続けていた商家。その他、両替商であり町年寄も務めた須子家など、伝統的な建造物が多く見られる。萩市街の中にあって、ここだけ普段着のような、貴重な町並が続いている。
 


訪問日:2002.11.23 TOP 町並INDEX