浜崎浦の郷愁風景

佐賀県浜玉町<港町> 地図 <唐津市>
 町並度 4 非俗化度 7 -年貢米積出などで栄えた唐津湾の港町-
         




浜玉町浜崎の町並

 
 唐津湾に面し東は福岡県に接する浜玉町浜崎地区。海岸部は松浦川が運んだ土砂による形成された砂浜海岸が連なり名勝虹ノ松原となっている。
 肥前国松浦郡に属し、江戸時代の所属は初め唐津藩領、慶安元(1648)年から幕府領、翌年から再度唐津藩領、その後宝暦13(1763)年からは幕府領日田代官所支配地となった。寛政11(1799)年には長崎奉行所支配地、文政元(1818)年からは対馬藩浜崎領と複雑な変遷を経て幕末を迎えている。
 古くは浜崎浦と呼ばれ、幕府領の時期を中心に大坂・江戸、そして長崎への年貢米積出の港として重要なところだった。小城藩や他の幕府領地からの米が集められ、小城鍋島藩の倉も存在していたという。
 文政2(1819)年の「諸職業調」では酒屋1・質屋3・糀屋1・紺屋1・油屋2・醬油屋2・鍛冶屋2・船問屋2その他多数の商工業者が記録されており、港を中心とした賑わいの町場が発達していたことがわかる。
 筑肥線より海側の県道沿いに伝統的な建物が散見される。これが旧唐津街道で、その姿からは港町というよりは商業町の印象を受ける。唐津を間近にして、港を背景とした商家が連なっていたのだろう。連続した箇所は少ないものの、切妻平入りで漆喰の塗屋造りの建物は間口が広く、裕福な商家を思わせる。
 保存するに値するといったレベルにはなく、やがて一つ一つと更新され面影は淡くなっていくのだろう。
 








 
訪問日:2018.01.03 TOP 町並INDEX