五反田の郷愁風景

佐賀県浜玉町<商業町> 地図 <唐津市>
 町並度 4 非俗化度 8  -江戸期創業の老舗料亭が歴史を物語る集落-


 


 
 



 
五反田の町並 右下は江戸期創業の料亭「飴源」 


 唐津湾に流れ込む玉島川下流域に位置する五反田地区。浜崎町・玉島村の合併により浜玉町が成立する以前は旧玉島村の中心地区であった。
 中世には松浦地方の総鎮守・鏡神社の大宮司草野氏の支配下にあり、玉島川右岸に聳える城山に居を構えていた。江戸期に入るとはじめ唐津藩領、その後幕府領、同日田代官所支配地、長崎奉行所支配地など数々の変遷を経て、文政元(1818)年からは対馬藩浜崎領として幕末を迎える。
 古くはこの付近まで海岸が入り込んでいたといわれ、港として発達したものか。玉島川に小さな支流が合流するあたりに家々が固まっており、国道が山側を迂回したため往時の町並が残っている。
 中でも料亭の看板を揚げた「飴源」は創業が江戸時代に遡るという老舗であり、玉島川の豊かな幸を材料に営業を続けており、外観も格式あるものである。また洋風の郵便局と思われる建物、漆喰塀に囲われた屋敷などが見られ、また店舗らしい一階部分が開放的な造りの建物も複数見られることから、港(川港)を背景に小規模ながら商業が発達したと考えられる。産業としては製紙も盛んに行われたとの記録がある。
 旧道区間の短い間ながら、質的には価値の高い家並が連なっていた。
 

 

   
   
         
 
訪問日:2021.01.04 TOP 町並INDEX