花岡の郷愁風景

山口県下松市【宿場町】 地図
 町並度 3 非俗化度 8  −山陽道の宿駅 妻入り町家がわずかに残る−




花岡(末武上)の町並

 

 花岡地区は下松の市街地より北東に約2km、国道2号線と岩徳線、そして山陽自動車道が付近を通過する交通の動脈に位置しているといえる。古い町は岩徳線と高速道との間、普通車なら難なく離合できるほどの一本道に沿った辺りで、これが旧山陽道である。
 周防国都濃郡に属していた当地は花岡八幡宮の社坊9ヶ寺の筆頭地蔵院があり、それらの門前町的性格も有していて、宿駅ともどもたいそうな賑わいだったようだ。九州に下向する豊臣秀吉もこの花岡宿に泊った記録が残っている。
 江戸時代中期の記録「地下上申」では町家85を数えており、東に続く久保(窪)市とともに商業も栄え旅人の休泊に寄与していた。
 宿場町らしい遺構は何一つ残っていない。中心部には幾分かの商店が一部に古い構えを残しながら営業中であったが、下松の市街地には大規模な商業施設があって隣の徳山からも客が流入しているような有様であるので、こんな零細な商店街は存続できるはずが無い。その東側、花岡八幡宮の入口付近からは妻入りの塗屋造りの建物がある程度残っているものの、古い町並としての見応え度は今ひとつ乏しい。ただそこからしばらく歩を進めても街道集落らしい佇まいは連なっていて、一見して近年になって開発された町ではないことはわかる。
 花岡八幡宮の参道入口には造り酒屋が今でも現役のようで、漆喰の土蔵が風情を醸していた。




花岡(末武上)の町並





花岡(生野屋)の町並

花岡八幡宮の参道


訪問日:2008.09.23 TOP 町並INDEX