原水の郷愁風景

熊本県菊陽町<武家町> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8  −屯田邸的な集落が4kmに渡って連なる独特の街路風景−












 
生垣が長々と連なる原水(鉄砲小路)の町並


 菊陽町原水は阿蘇地方から流れ出る白川の河岸段丘上に展開している。熊本市の郊外にも当たっており、豊肥本線の駅付近や国道沿いは新市街地として 賑わいを見せる。
 一方、川を隔てた右岸側には非常に特徴的な集落が見られる。ほぼ直線の4kmにわたる街路に沿い、小ざっぱりした生垣が連なり、鉄砲小路と名付けられている。
 この街路は、当時の藩主であった細川忠利が計画した郷士集落である。この地は熊本城からみると鬼門にあたり、外部からの敵を防御し城や城下町を守る目的で造られた。いわゆる屯田兵的性格を持った集落である。
 当時付近は未開の土地であり、農地として開墾する目的も与えられていた。そのため住居は街路の北側のみに計画され、南側は作業場としたという。現在でも生垣や宅地が見られるのはほぼ北側に限られている。間口は15間に統一されていたこともあり、整然とした雰囲気が今でも漂う。
 現在の鉄砲小路は生活路であり、時折地元の車両が通る程度で静かな街路である。その成立ちを知ると非常に興味深く訪ねられる集落だ。またこの生垣は住民によって植えられ、また管理されているとのことで、地元の方の景観・歴史認識の強さが伺える。


訪問日:2017.06.09 TOP 町並INDEX