波止浜の郷愁風景

愛媛県今治市<港町・産業町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7 −塩田と瀬戸内航路で栄えた町−
 
波止浜の町並 

 早い潮流で知られる来島海峡には近年になって長大な橋が架けられ、本四連絡橋の一つとなっている。波止浜はその南の袂を受持つ町で、港町として古い歴史を有している。
 深い入江にあり、古くから風待ち港として多く利用され、室町期には伊予水軍の基地ともなっていた。江戸期に入ると松山藩の保護のもと港は発展し、廻船問屋が多く立地しまた参勤交代時にも利用された記録を持つ。
 また藩はこの地での塩田の経営に積極的で、17世紀後半の天和期には付近の海浜に塩田の土手を築造、その後数年で33箇所もの塩田を設営している。この塩田での塩の生産、港を中心とした物資の集積地として重要な役割を持っていた。松山藩の外港としての位置付けもあり、また遊女が置かれていたという。
 明治以降は本州側各地とを結ぶ航路もあり、海上交通の重要な拠点として栄えたところである。
 そのような賑わいの地であったことは、今探訪しても想起できる。その筆頭は塀で囲まれた大変豪勢な邸宅が複数見られることで、寺のたたずまいとともにこの町を象徴するものと言って良かろう。
 海岸沿いに出ると、漁船が舫われている先に造船所が見え、建造中の巨大な船舶を眼にすることが出来る。古い町並の残る風景とは対極的で、圧倒されるようでもある。
 
 






 


訪問日:2010.07.19 TOP 町並INDEX