清水の街道風景

和歌山県橋本市<街道集落> 地図
 
町並度 5 非俗化度 10 −高野山に向う街道上の町−
 

清水の町並



橋本は和歌山藩領伊都郡の中心で、紀ノ川水運を中心とした商業の要の地であり、同時に高野山へ向う街道の要地でもあったことは、橋本の郷愁風景で触れた。高野への道は、橋本で川を渡り左岸に移り、幾つかの町場を経ながら高野山に達している。この清水はそれら街道上の町の一つであった。
 この街道は東高野街道と呼ばれていて、京都や大坂方面から高野山への参詣路としては最も多く利用されていたものであった。清水は中でも大きな町場で、宿駅と呼べるほどの機能があったかどうかは定かでないが、残された古文書などによると清水宿という文字も見られることから、旅舎が存在していたことがわかっている。この清水に宿泊すると、翌日には丁度山上に余裕を持って到着できる位置にあったため、ここに宿をとる旅人も多かったのだろう。対岸の橋本と同様に伝馬所でもあり、旅人や物資輸送の拠点としての役目を持つ町だった。紀ノ川が増水した場合、仮宿としてもおそらく機能していたと思われる。
 南海電鉄紀伊清水駅前を通る国道370号線の、もう一本川寄りが旧街道で、街道集落らしい一本道上の古い家並が続いている。中二階平入りで虫籠窓を纏った旧式の町家が散見され、一部では塀に囲まれ、入母屋形式となり豪農屋敷のような出で立ちも見える。家々の形から、江戸期にまで遡る建築も残っているようだった。
 






 

 
家並が続くのは500mほどで、主要街道の宿場町のように軒を接して連続する、いわゆる都市型の姿ではなく、農村集落的に少し間隔を置いて間口の広い旧家が残っている印象で、それも所々で空地となったり、新しい形式の建物に代っている姿が見られる。加えて西側では最近建設されたらしい橋梁によって幾つかの町家が潰されたようだ。しかし現在残っている町家の形式は先に書いたように古いもので、サッシ等に改められているものも少なく、見応えのするものであった。
  

訪問日:2006.04.30 TOP 町並INDEX