松ヶ崎の郷愁風景

新潟県畑野町<港町> 地図 <佐渡市>
 町並度 4 非俗化度 8  
−古代から佐渡の国津として定められていた歴史の古い港町−




松ヶ崎の町並 木質感の高い家並が連なる



 佐渡島南東側の海岸は全体に平地に乏しく、大きな町や集落も少ない。一方で本土に正対しており距離も近く、古い時代から海運が行われていた地域でもある。この松ヶ崎地区もその一つである。
 古代の律令時代に松埼駅が設けられ、舟2艘が設置されたのが始まりといわれ、現在の寺泊付近とされる渡戸駅との間を往来した。松埼は佐渡国の国津として、公の使者などもここから海を渡ったとされている。出入りの乏しい島の南東岸沿いにあって、付近は小さな砂洲上の平地となっている。古い時代の底の平らな船もつけ易く、潮流や波の影響を和らげる効果もあるため港が設けられた、ということが考えられる。
 江戸時代には蝦夷松前との交易も行われた記録がある。元禄の頃には4軒の問屋があり、中には10艘もの廻船を有する有力な問屋も存在した。西廻り航路の北前船も寄港したが、島の南端にある小木に公港が置かれてからは徐々に役割をそちらに移していった。以後は漁村として、明治初期の記録で漁民30、漁船116などと賑わった。玄関先に以前の屋号を掲げた風景も見られたが、一夜干しイカなどの看板を掲げた家も眼につき、現在も漁村として生計を立てているようだ。
 町並は車がようやくすれ違える幅員の旧道に沿い残る。板張の建物が約500mにわたって続く。かつては建物が密集していたのだろうが、現在はあちこちが歯抜け状態となり耕地等に利用されている状況となっている。しかし家々の外観には統一感があり、歴史を解説した案内板なども見られ、それに根ざした町並をやや意識されているように感じた。
 










訪問日:2017.04.30 TOP 町並INDEX