鳩ヶ谷の郷愁風景

埼玉県鳩ヶ谷市宿場町・商業町 地図
 
町並度 3 非俗化度 8 −日光御成街道の宿駅−





 
鳩ヶ谷市は県の南東部に位置し、周囲を川口市に取囲まれた面積の狭い都市である。最近になって東京都心から地下鉄が直通するようになったこともあり、典型的なベッドタウンとして市域は住宅地、商業地化がほぼ完了している。
 町としての歴史は古く、鎌倉時代から市場が立っていたとされ、また江戸時代には物資の集うところとして付近の中心となり、市には江戸から古着商などが来て賑わいを見せていた。
 
鳩ヶ谷の町並 旧街道には石蔵も幾つか残る








 
  
 一方日光御成街道は、中山道の本郷追分(現東京都文京区)より分岐し、日光街道の幸手(さって)宿に達していた脇街道であるが、将軍が東照宮へ向う折に使われたことから御成の名が付され、そう呼ばれていた。鳩ヶ谷にはその宿駅が設けられていた。
 宿駅とはいっても江戸に非常に近いところにあったため、本陣が一軒置かれた他は宿はなかった。
 現在の国道122号線の東側に旧日光御成街道が残り、現在もバス通り、生活道として通行量は多い。周囲よりやや小高い微高地に鳩ヶ谷宿は設置されていた。マンションや商店が視界の多くを占め、大都市近郊の風景が展開しているが、古い姿も少なからず残る。関東地方らしい出桁の町家風建築、石造の蔵などが散見される。古い町並というほど密度は濃くないものの、質的には商業町として繁栄したらしい見応え感がある。
 都心に直結した町でこのような風景が今なお残っていることは稀少度の高いものであるが、何時失われても不思議ではない危うさを秘めている町並である。
 


訪問日:2007.05.26 TOP 町並INDEX