初狩の郷愁風景

山梨県大月市【宿場町】 地図 
 
町並度  5 非俗化度 8  −郡中地域最西端を占める甲州街道の宿駅−




 初狩地区は大月の市街地から西に5kmほど進んだところで、中央本線の駅が設けられている。かつては初雁とも書き、当地の支配者に由来するという。
下初狩の町並


 江戸時代には都留郡に属し、東部一帯の郡内地域と呼ばれる地域の西端に位置し、甲府盆地を控える場所にあった。戦国時代末期には既に宿泊業務を行う者が多く、宿場として位置づけられていたという。その後整備された甲州街道の宿駅として初狩が指定されていた。
 宿場は下初狩宿・中初狩宿に分割されてそれぞれ本陣・脇本陣が定められていた。但し人馬の継立ては各々が半月ごとの交替制で執り行っていたそうで、甲州街道の他の宿駅では鳥沢宿に同例を求めることができる。
 当時の宿場町の幅員は十分な広さがあったらしく、国道20号線がそのまま踏襲しているのに道の両側に伝統的な建物が残っている。さすがは主要街道である。但し、国道の路面より宅盤がかなり低く、家並が埋もれたような景観になっている。特に旧下初狩宿の町並においてそれが顕著に見られる。国道の建設時に路盤の嵩上げが行われたのだろう。
 伝統的な建物は明治以降のものらしく、間口が広い堂々とした外観だ。前庭を持っていたのか、国道より少し引いた位置に構える邸宅もある。土蔵を持つものもあった。
 なお交通量の多い幹線国道沿いに展開し、歩道のないところもあるため、探訪には注意が必要である。
 




下初狩の町並




下初狩の町並 中初狩の町並



中初狩の町並

訪問日:2015.05.02 TOP 町並INDEX