宇野の郷愁風景

鳥取県羽合町<在郷町> 地図  <湯梨浜町>
 
町並度 4 非俗化度 8  −大庄屋だった邸宅も残る集落−





 
 県の中央部、東郷池から山一つ隔てた海岸部にある宇野地区。藩政期は河村郡に属し、伯耆国の東端近くに位置していた。寒漁村に過ぎなかったが、山陰街道にも面し往来があったことで、小規模ながらも在郷商業町としての繁栄があったようだ。
 例を挙げると、嘉永6(1853)年当村の百姓が倉吉の商人より蝋燭商の株を譲り受けた。また翌年には農間に製造した酢を境港に、安政3(1856)年には葉藍1,500貫が積出されている。
 
 




宇野の町並(旧街道沿い) 
 

 海岸部は海水浴場となっているが、ややもすると国道で通過してしまうだけでのところである。国道の一本内側が旧街道であり、砂丘地形らしく一段土地が高くなっており、その南側が低くなっている。街道上は商家を思わせる家屋も見られ、一方砂丘下の低地部は中小家屋が多い印象である。
 その中でひときわ目立つのが尾崎家住宅である。河村郡の大庄屋を勤めた家で、住居は重要文化財、庭園が国の名勝に指定されている。茅葺屋根の主屋などを持つ豪農宅でもあり、多くの土蔵も従えている。集落には不釣合なほどの邸宅だが、訪ねた時は改修工事が行われていて見学できなかったのが残念だ。




砂丘上より望む町並 右奥の茅葺は尾崎家住宅




 
尾崎家住宅(国重文)

訪問日:2020.04.04 TOP 町並INDEX