速水の郷愁風景

滋賀県湖北町<商業町・街道集落> 地図
町並度 5 非俗化度 9 −北国街道沿いに発展した在郷町−





速水の旧北国街道沿いの町並


 湖北町は琵琶湖の北東岸に開ける町で、国道8号、北陸本線が南北に縦断し周囲は田園地帯となっている。町域のほぼ中央にある速水集落は旧北国街道の街村で、歴史も古い。
 地名は平安時代の書物にも記録され、速水荘と呼ばれていた。江戸期は大半が山城淀藩領で、北国街道筋にあったため、東浅井郡の行政の中心として明治前半まで位置づけられていた。但し宿駅として定められてはいかなったようで、町の姿は商業の集積する在郷町だったのだろう。
 産業としてはに農業を主体としていたこの地域であるが、江戸末期から明治にかけては養蚕が主産業となり、製糸業や織物業が立地した。最盛期には福井県から女工を雇い入れたほどであった。製品は他府県まで売りに出された。
 明治35年、国鉄北陸本線の虎姫駅が開設されると、郡の中心機構はそちらに移され、地域の中心としての役割は次第に淡くなっていった。
 現在では国道8号線の西に平行して残る旧道に昔の面影が残る。この集落部分の約1kmの区間は国道が新たにバイパスとして建設されたことで、この町はある程度原型を留めている。伝統的な家屋はほとんどが明治以降の建築のようであったが、平入りと妻入りが混在し、重厚な屋根を持つ商家風の旧家も残っていた。全体的に間口が広く、また隣家との間隔が比較的ゆったりしていて、軒を接して町家が連続する都市型の町並ではなく、どことなく農村集落的な雰囲気が漂っていた。




旧北国街道沿いの町並




旧北国街道沿いの町並 街道から入った路地の町並

訪問日:2005.04.17 TOP 町並INDEX