飛騨金山の郷愁風景

岐阜県金山町<宿場町・商業町> 地図 <下呂市>
 町並度 6 非俗化度 7  -飛騨南端に位置し交通・流通の要衝であった町-





木造三階建も残る金山の町並


 金山町は県の中部、飛騨川に数々の支流が合流する小盆地に開ける。高山本線と国道41号が縦断し交通の便は比較的よい。
 飛騨地方の南端に位置しており、古くから交通の要衝、政治的な要として位置づけられてきた。古代の東山道飛騨支路の時代には駅が設置されていたといわれ、近世に入り飛騨街道(益田街道)が整備されると、金山には宿駅が設置され、継立所が置かれた。ここからは各方面に向う中小街道も分岐しており、物資も多く集まったのだろう。
 また飛騨川は山々から切り出された豊富な材木の輸送に使われており、所々に綱場という流れ下った木を筏に組成する場所が設けられていた。金山にも置かれており、木材を扱う人々でも町は賑わった。
 市街地は飛騨川の左右岸に跨って展開している。駅とは反対の右岸側がより古い市街地で、ここに旧飛騨街道も残る。道幅は狭く、その点では主要街道に比べるまでもないが、地形に従順に緩やかな曲線や坂道が連なり、両側に密度濃く家並が展開するさまは見応えがある。建物自体は藩政時代に遡るものはないと思われたが、無住の家屋も少なく生活色の濃い町並である。
 中でも木造三階の堂々たる建物は明治8年に建築された「清水楼」と呼ばれる料理屋で、今でも営業されている。2・3階部には木製欄干をあしらった回廊が巡り、幹線道路沿いだった当時の賑わいを想起させるに十分な外観だ。この他にも現役かどうかは別として、旅館の看板を持った建物も数棟目にした。
 街道沿い以外でも造り酒屋が堂々たるうだつを従えた母屋を構え、昭和レトロ的な商店が連なる一角など興味深い探訪が楽しめる町でもある。地元では街道沿いから派生する路地群にも魅力があるとして、「筋骨巡り」と銘打って売り出している模様である。探訪当時はそのことは知らず小路には余り目を向けなかったので、その点はやや残念ではある。









訪問日:2017.07.16 TOP 町並INDEX