飛騨小坂の郷愁風景

岐阜県小坂町<産業町・在郷町> 地図 <下呂市>
 
町並度 4 非俗化度 8  −林業とともに発展してきた町−










小坂の町並


 
小坂町は高山本線沿線で下呂と高山のほぼ中間、飛騨の深い山中にある。御嶽山付近に源を発する小坂川が飛騨川に合流する位置にある。
 面積のほとんどを占めるその山林の65%は国有林で、全国の山林うち国有林の占める割合は3割弱、東海地方に限っては1割程度であることを考えればかなり高い比率となっている。これは小坂の産業の歴史をみるとわかる。
 江戸時代、飛騨を幕府領としたのは一帯に広がる豊富な山林資源を得るのが目的ともいわれる。とりわけこの小坂を含む御嶽山と乗鞍山の麓一帯には良材が確保できる樹林が広がっていた。小坂の人々は、木材の伐採運搬に従事することにより安定した収入を得ることができたのであった。
 幕府の保護下にあった山林は明治維新後は国有地としてそのまま引継がれ、明治後期からしばらくは皇室御料地に編入されたこともあったが、以後現在にまで至っている。
 飛騨小坂駅から飛騨川を挟み、小坂川合流部付近にかけてが古くからの町の中心部で、現在は商店街をなしている。土蔵を従えた町家風の建物が見られるかと思えば、二階部に木製欄干を残す旅館を思わせるもの、さらに洋風建築も見られるなど種々雑多な町並展開といった感触を抱く。基幹産業である林業を糧に、様々な商業が栄え、また長きに渡って賑わっていたことを伺わせる。
 古くから霊山と崇められてきた御嶽山の西麓にあり、また麓一帯には数々の温泉郷がある。町並内は全く他所向きの雰囲気ではないが、それらを目当てに訪ねる客は多い。 

 





訪問日:2017.07.16 TOP 町並INDEX