日出の郷愁風景

大分県日出町【城下町】 地図
 
町並度 3 非俗化度 6 −別府湾を見下ろす城跡のある町−






日出城址の石垣。奥に別府湾が開ける。 的山荘付近の町並
 
 

 日出町は別府湾の北岸に面する町で、町の中心には暘谷(日出)城址が海を見下ろす。江戸期には豊後国は小藩の乱立する土地となり、ここに日出藩が置かれ慶長6(1601)年に播州姫路城主であった木下氏がここに居を構えた。壮大な石垣が現在も残り、城地は現在小学校として利用されている。
 この付近の海岸線は険しくないが、ゆるやかな台地が海に落込む地形をなしていて、敵は海からは攻めにくい格好となっていた。海岸に城が築かれたのもよくわかる。この町は暘谷城そのものよりも、一種のブランドともいえる城下鰈(カレイ)の産地としてよく知られるところだろう。付近の海底から真水が湧き、良質なプランクトンが育成され重厚な身の鰈が育つのだそうだ。城の近くにある的山荘はこの城下鰈をはじめ別府湾の幸を供する超高級料亭で、別府湾と高崎山を借景とした素晴しい庭園もある。私はとてもではないがこの敷地に足を踏み入れる勇気はなかったが、この界隈が日出を象徴する一角である。
 城の近くの比較的低い土地に武家屋敷を固め、台地上は町人地とした雰囲気が伺える。建物はほとんど改築されているが、土塀や門が引継がれている姿があちこちで目に付き、厳かな屋敷街をなしていた。屋根瓦を漆喰で固めた姿が目立つのは、海岸の台地にあって強風への対策からなのだろうか。
 一方町役場のある山側の東西の通りは、古くから町の商業の中心で、現在でも所々に伝統的な家屋が散見される。その密度は高くはないものの、台地上の町らしい開放的な雰囲気が感じられる独特の風情を持った町並であった。









城の北側に開ける台地部分には武家屋敷の名残を留める塀や門を従えた屋敷、町家風の建物が所々に残っていた。

訪問日:2006.08.14 TOP 町並INDEX