枅川の郷愁風景

三重県上野市【農村集落】 地図  <伊賀市>
町並度 4 非俗化度 10 −豪農宅自らが町並を形成する−


 


 
町井家の主屋と周囲の町並 
 

 

 旧近鉄伊賀線の伊賀鉄道・丸山駅付近は長閑な田園といった印象で、木津川支流の比自岐川に沿って東に進むと1kmほどで枅川という集落に達する。河川名と同様ひじきがわと読むが、この字はひじきという読みは持たず、当て字だろうか。「枅」は柱の上で棟木を受ける角材という意味である。
 江戸時代の所領は初期には上野藩領であったが、後に津藩領となっている。神戸四郷と称された村々のひとつであった。
 古い町並というより小さな農村集落といったところだが、特筆されるのが延享元年(1744)築の町井家住宅である。入母屋造りの主屋、複数の土蔵を従え、土塀に囲われた広大な敷地を持っており、当家の建物群自らが古い町並を形成している。江戸初期には大庄屋をつとめていたという家で、当地の上級農家を知ることができる貴重な遺構である。
 この町井家を筆頭に、集落には豪農を思わせる佇まいが多い。丸山駅に向う道沿いにも断続的に立派な邸宅が見られ、長屋門風の門を従えたものもあった。
 
 
 

 


 
   
   

訪問日:2023.06.03 TOP 町並INDEX