斐川(散居集落)の郷愁風景

島根県斐川町<農村集落> 地図  <出雲市>
 町並度 4 非俗化度 8 −築地松を従える農家が散在する独特の風景−
 



 
 

 出雲平野特に斐伊川と国道9号・山陰本線に囲われた低地部では、築地松と呼ばれる季節風を防御する屋敷林を従えた農家が数多く見られ、特色ある集落景観を示している。またそれらが他の家屋と隣接せず散在して立地するさまを散居集落(−村)と呼び、国内では砺波平野や岩手県胆沢扇状地などとならびこの出雲平野も典型的なものとして知られている。
 屋敷を防御する築地松は、もともとは斐伊川の氾濫から土地を守るために植えられたことが始まりとされる。その後は風のみならず屋内の温度変化を穏やかなものにしたり、また燃料としても活用されるなど生活に欠かせないものになったという。
 ここに掲載したのは斐川町のうち原鹿地区、坂田地区など北部の風景で、中でも江角家は典型的な豪農屋敷として公開されている。明治中期にこの地に構え、主屋をはじめ多数の付属屋、庭園そして西側と北側は豪壮さを感じる屋敷林に囲われている。
 付近の農家の築地松も見事な樹勢を示しているが、見ているとその維持は大変なものと思わせる。剪定などを行う職人の減少、松枯れ被害などもあり、以前と比べるとずいぶん減少したという。しかし現在でも一目見て出雲平野の風景と判る風景が広範囲に展開している。訪ねることはかなわなかったが島根半島側の旅伏山からは散居集落を一望することができるとのことだ。
 



 


 


 
 「原鹿の豪農屋敷」として保存・公開される江角家

 

訪問日:2022.06.05 TOP 町並INDEX