引田の郷愁風景

香川県引田町<港町> 地図 <東かがわ市>
 
町並度 6 非俗化度 5 −赤壁の醤油屋がシンボルの港町−


引田のシンボルといえるかめびし屋(醤油屋) 赤壁が強烈な印象を受ける




随所に町家建築・木造の伝統的な建物が残っている


 香川県最東端の海沿いの町引田町は、古くから港町として大坂などとの船の往来が絶えなかった。河口に港を構え、東側の砂洲に町が発達し家々が建ち並んだ。当時讃岐三白と呼ばれていた砂糖・綿花・塩といった産物が積出され、商業の拠点として栄え、一時は商家94軒に達したという。
 この引田で特に盛んだったのが醤油醸造で、真っ赤な外観のかめびし屋が象徴的である。これは紅殻が壁一面に塗布されているからで、町の北外れの高台に位置する誉田八幡宮からも、その姿は圧倒的に目立つ。この近辺は原料である大豆や小麦が多く獲れ、醤油生産を後押しした。最盛期にはこの小さな町に7軒もの醤油業を営む家があったのだという。
 そこから東に向うと細い道に沿い伝統的な町家建築があちこちに残っている。大きな長屋門を構えた邸宅は大庄屋であった日下家。洋風建築の引田郵便局からは、明治の文化をいち早く取り入れた町の姿勢が感じられる。
 家々は本瓦葺の屋根を従え、重厚さを感じさせる町並だ。このページに載せている画像は多くが再訪問時のものであるが、現在では古い町並として地元が認識され、様々な取組が行われている。また建物も整備され、引田郵便局や一部の町家建築は訪問客に公開されている。それらは観光地化というほどではなく地味な姿であるため、非常に好感が持てるのだが、初回訪問時はそれこそ全く手付かずの古い町並であっただけに、随分変化したという印象が拭えなかった。
 古い町並の残る通りの北側は狭い路地が支配し、港町が形成された当時そのままなのだろう。素朴な漁村らしい佇まいだった。すぐそばは漁港で、潮の匂いが濃厚に漂う一角である。



旧大庄屋日下家とその長屋門




旧引田郵便局 現在は内部が公開されている
(2000.11撮影)
本瓦がとても渋い町家 現在は整備され公開される
(2000.11撮影)

           

※注記の画像以外は2007年8月再訪問時撮影
訪問日:2000.11.26
(2007.08.14再取材)
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