氷見の郷愁風景

富山県氷見市【漁村・商業町】 地図
町並度 4 非俗化 7 −裏小路に残る繁栄の証−
 








 氷見市は富山県の北西部、能登半島の基部を占め富山湾に面する。
 能登との国境地帯にあったことから、戦略的拠点として戦国期には重要視され、抗争が頻発した。城が構えられ、菊池氏が所有していたが、天正13年に前田利家に誘われたことで均衡が崩れ、越中国西部の3郡は前田氏に与えられ廃藩置県まで加賀藩領として経過している。
中央町の町並
 

 
 現在でも氷見の名産として名高い鰤
(ブリ)は江戸時代より定置網によって大量に漁獲される主要産業としてこの地に根付いてきた。富山湾の独特の海底地形が鰤の回遊を促し、その利を得て古くから漁業により町が発達した。耕地が少ない地形のため、ほぼ純粋な漁村としての発達であった。
 明治以降は他産業も発展する。その筆頭が縫い針の生産で、江戸期から続いていたが第一次大戦時の好景気によって機械生産が導入され一大産業となる。その後終戦により衰退したが、昭和初期からは国際港となった伏木に大量の労働力が注入され、その見返りは氷見にも大きくもたらされ活況を呈した。
 市街中心地のメイン通りはアーケード商店街となっているが、最近海岸部に道の駅が設けられ、多くの客が訪れるスポットとなっている。ただその間の一帯は、街路がせせこましく入り組んだ旧態依然とした町並が展開し、あちらこちらに町家風の伝統的な建物が散見される。一部には軒先に幕板を垂れ下げたものもあり、その姿は印象的だ。
 また北に接する北大町界隈にも黒漆喰をまとった間口の広い商家なども残っており、この町の商業的基盤がしっかりしていたことを物語る。
 
  




北大町の町並




中心街はアーケードに覆われているが 伝統的な造りの商家や看板建築も残っていた

訪問日:2013.05.04 TOP 町並INDEX