川内の郷愁風景

長崎県平戸市【港町・漁村】 地図 
 町並度 5 非俗化度 8 −平戸の副港として国際交易も行った−

     











 川内地区は平戸島の北東部、小さな湾の奥にある。平戸城などのある市の中心街は平戸大橋を渡って右に向かうが、左に折れてしばらく南下した東岸に位置する。付近は九州本土との間に挟まれ、外海に面していないため穏やかな海域である。
 港町としての歴史は古く、近世初頭は平戸の副港として、オランダ・中国船の風待ち・潮待ちの港として栄えていた。丘の上には遊郭も存在していたという記録もある。江戸前期までには湾を囲うように町並が形成され、現在と変わらぬ姿を示していたという。
 その後江戸中期になると藩内有数の漁港としても賑わい、番所が置かれ平戸に次ぐ重要な港町・漁村として発達した。
 入江の入口に小高い丘を従え、港を構えるに相応しいところといえるが家並は入江の地形に従い円弧状に10分も歩けば端まで歩けるほど小ぢんまりしたものである。平戸市の中心とは異なり外部の客が訪れる事もほとんどなく、家並はひっそりとしている。その中に旅館の文字の見える建物、木質感の高い平入りの建物群を見ると、やはりただの小さな漁村ではないと思わせる。出で立ちも漁家というより商家を思わせるものが多く、古い町並としても十分感じるものがある。

 ここの名産に蒲鉾がある。地元の漁師が近海で取れた魚をすり潰して「はんぺん」を作ったのが始まりとされ、100年以上の伝統があるという。川内蒲鉾という名で知られ、看板を掲げた店舗も見かけた。
       

訪問日:2018.01.02 TOP 町並INDEX