茄子作の郷愁風景

大阪府枚方市市<農村集落> 地図
 
町並度 4 非俗化度 10 −小高い所に周囲と画然と異なる農村集落−





小路に沿い立派な門や土蔵などが見られる茄子作地区


高札場跡


 枚方市茄子作は市域の南端、位置的には京阪の本線より交野線の交野市駅あたりが最寄駅となる。
 駅から西に向い淀川支流・天野川を渡ると台地状のやや高い土地が広がり、その部分に家並が展開している。地名は茄子の名産地であったことが由来とされるが定かではない。
江戸時代は大坂町奉行久貝氏と旗本長井氏の相給で、後に前者は相模小田原藩領となり幕末を迎えた。元禄の頃から京街道枚方宿の助郷として指定されており、宿駅業務に従事する者もあったが、基本は農村集落であった。
 茄子作の古くからの街区は、台地下の郊外型風景とは一線を画した町の風景が展開しており、土塀が巡る広い敷地の屋敷、土蔵、長屋門風の立派な門構えなどが象徴的なものだ。複雑に曲折を繰り返し枝道も多い路地は狭く、地図を見ながらでもなかなか迷いがちになる。
 集落のほぼ中央に「茄子作村高札場跡」という石柱のある小区画がある。小さな案内板によると、18世紀前半の正徳年間にこの場所に高札が建てられ、戦後まで残っていたが昭和30年頃に撤去されたという。高札としての役割が終えてからも、この一角は子供の遊び場や高齢者の憩いの場などとして地区の人に親しまれていたようだ。
 丘の下は住宅地が連なり、新築の建物に一部侵蝕されつつある雰囲気が見られたが、豪農集落といった風情は十分に感じることが出来る。
 


 



 


訪問日:2024.01.03 TOP 町並INDEX