常陸大子の郷愁風景

茨城県大子町<在郷町> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 7  −久慈川に沿う常陸最北の町−




 大子は茨城県の北端、久慈川に沿い水郡線の沿線にある。
 中世には陸奥国に属していた地域で、16世紀末の太閤検地の結果、常陸国久慈郡に属することになった。







 江戸期の大半を水戸藩領として経過したこの土地は、物資の集散地として栄えた。その大きな役割となったのが久慈川の水運であった。大子には河岸が設けられ、周辺で名産のコンニャク、紙などが消費物資などと取引された。
 水戸から内陸部を北に向かう街道は棚倉街道といったが、大子とは一山隔てた東側の谷をつないでいた。この大子にも小さな宿場が立地していたが、久慈川の峡谷沿いなど峻険な場所も多かったため、主要な通行は棚倉街道に依っていたのだろう。
 
 






 明治以降も地域の商業中心であり、特に馬市が発達した。大正から昭和初期にかけては軍需から多くの馬が必要となったこともあって最盛期を迎えた。現在の水郡線にあたるルートが昭和初期に開通すると材木の輸送に使われ、林業も発達した。
 町は典型的な盆地状の地形に展開しており、周囲からの閉鎖感がある。その中に駅と商店街を中心とした町の広がりがあり、所々に伝統的な建物が残っている。その残存率は決して高いものではいが、商店街の中に見られる建物群からも随所に古い形式が見られ、在郷町として賑わっていたことは間違いない。
 一部には黒漆喰の立派な店蔵、厳かな門を持つものもあった。
 

訪問日:2014.05.04 TOP 町並INDEX