殿田の郷愁風景

京都府日吉町【商業町】 地図  <南丹市>
 
町並度 4 非俗化度 9 −船筏の中継地として商業が発達−
 
 

 

 曲線の街路に沿い展開する殿田の町並

 

 日吉町殿田地区は地区の南側を大堰川が南流する。この川は下流部で桂川と名を変え嵐山渡月橋を潜り、さらに下流で宇治川と合流し大阪湾に注ぐ淀川水系の河川である。この殿田付近では川幅が増し、支流を集めて川幅も広がることから、古くは船筏の中継地として発達した所である。
 大堰川の筏流しは奈良時代から行われていたともいわれ、丹波各地の木材はもっぱらこの水運により筏が組まれ、次々と川を下っていった。半数は淀川から大坂に向ったが、渡月橋脇の貯木場で引き上げられるものも多く、それらの木材は京の都の発展にも欠かせないものであった。
 特に慶長期に大堰川が大規模に改修されて以後、殿田で大きな筏に組み直して川を下ることが通例になり、木材問屋をはじめ商家群が町場を形成し、大層賑わいを見せたという。寛政元(1789)年の記録では戸数92・400人余りの人口を有していた。
 町並は河川合流点の北側に展開しており、町筋と呼ばれる支流側の集落と、東町という大堰川側とに分れている。後者では建物や町並としての特徴は余り見られず、比較的新しい家々が多いが、町筋地区では支流の流路にあわせて緩やかに曲線を描く街路に沿って伝統的な家々が見られる。土塀を巡らした立派な構えを持つものもある。一部には旧家を商店や集会所に再利用している姿も見られた。
 近くに山陰本線の日吉駅があるが、駅前から続く道からは外れ入組んだような位置にあることから、地元の車以外はほぼ通過することもなく静かというよりやや寂しさも感じる雰囲気が支配していた。
 
 

 

 
 

 

   

訪問日:2023.10.21 TOP 町並INDEX