防府天満宮門前の郷愁風景

山口県防府市<門前町・宿場町> 地図 
 
町並度 3 非俗化度 4 −天満宮の門前は旧山陽道時代宿場町でもあった−
 



 防府市というとまず想起されるのは天満宮というほど有名で、北野天満宮・大宰府天満宮とともに三大天神として知られる。
 ここでは天満宮の詳細については割愛し門前の町並に焦点を置いて紹介する。
 門前には東西に旧山陽道が通っている。周防国の国衙の西に接し、天満宮の社前に古くから市が立ちにぎわったとされ、宮市町と呼ばれた。江戸後期の『防長風土注進案』によると、町の長さは九町余り(約1km)、300軒余りを数えていて、商人27・職人73・宿屋22などとあり、商人のうち酒屋が11軒を占めていた。また大工や鍛冶・紺屋・提灯屋などの職人もあった。
 宿駅としても機能し、本陣兄部家、脇本陣中村家・市川家が大名行列等の大通行に対応し、馬継所には人足20人、伝馬20匹が常備されていた。兄部家は町並の中心部にあり、近年まで主屋が残り威容を示していたが焼失したことは惜しまれる。また天満宮より東側は道路拡張が行われ、ほぼ古い町並らしい色は失われている。
 一方西側には数棟の町家建築、洋風の外観を残す建物、看板建築などが残り辛うじて名残を感じることができる。また脇道を伝うと門を従えた厳かな邸宅を眼にすることが出来る一角もあった

 防府駅方面に向う通りには後発的に門前町が発達しただろう町の風景も見られた。今は車で来る客がほとんどであり、商店も多くは店を閉じていた。


天満宮前の旧山陽道の町並





旧山陽道沿いの町並 駅に向う道筋に展開する門前商店街




山陽道沿いを外れた界隈(左:戎町 右:今市町)にも若干古い佇まいが残る


訪問日:2019.03.24 TOP 町並INDEX