市比野の郷愁風景

鹿児島県樋脇町【温泉町】  地図 <薩摩川内市>
 
町並度 4 非俗化度 6 -薩摩の奥座敷とも呼ばれた名湯-




 
 川内川の支流である市比野川・城後川沿いに市比野温泉街が開けている。付近は低山と田園が交錯し、穏やかな地形が展開している。
 江戸はは薩摩国樋脇郷に属していた。但し、当地には郷士はほとんど居住せず純粋な農村であったといい、米・麦・粟・蕎麦・甘藷などを産していた。






伝統的な旅館の建物も残る 右は表通りからは二階に見えるが川側から見ると三階建であることがわかる












 


 
 温泉が発見されたのは江戸前期の寛文期の頃といわれ、島津光久が当地にメジロを捕りにきた折、地元の方に温泉を案内され、天下の名泉と称したのが始まりといわれる。市比野川沿いに温泉浴場が作られ、諸病が治癒するとの触れ込みで多くの入浴客が訪れた。
 明治に入ると材木の伐採が盛んとなり、市比野川の舟運で搬送された。温泉地も賑わいを示し、現在の町の基盤が築かれた。
 城後川沿いには共同浴場も数軒あり、伝統的な構えの旅館も見られる。商店街も展開しており中心街を形成していた。但し、営業を終えている旅館も複数目にした。一時は鹿児島市内などから大型バスで多くの団体客があったというが、今では少人数の客が主体で特に大型の旅館は寂れてしまったようだ。
 それでも古い旅館の一つでは合宿の生徒なのか、賑やかな声が聞こえてきた。表通りに面した玄関部分は川側から見ると二階部分となっている建物で、堂々たる外観を見せていた。
 


訪問日:2020.01.03 TOP 町並INDEX