市木宿の郷愁風景

島根県瑞穂町<宿場町> 地図 <邑南町>
 町並度 4 非俗化度 10  −石見瓦で統一された赤い町並−
 石州街道の宿場であった市木地区。
 石見瓦の連続する町並です。この地のものは特に鮮やかな赤褐色です。
旧宿場らしく、この小さい集落内に今でも旅館を営んでいる姿が数多く見受けられます。
街道の裏手にこのように土蔵を構えるのが標準的な姿であったようです。 この旧家は煙出しに名古屋城のような飾りがあります。
 


 島根県石見地方の南部、広島県と接する中国山地の只中に瑞穂町はある。町域の西端近い市木地区は現在、浜田自動車道のインターチェンジが設けられ、大きなスキー場もありシーズンは賑わう。車での交通面では、山深いところの割には非常に気軽に訪れることができる。
 ここは広島と浜田を連絡していた石州街道の、石見国南端の宿場であった。今でも広島県側から峠を越えカーブの連続する坂道を15分ほど下ると、突然平地が開け石州瓦の集落が現れる。市木の旧宿場である。これが徒歩での行軍となれば、さぞほっと一息ついたであろう情景である。
 今残る市木の集落は南北におよそ500m、集落の外から見ると一列に赤瓦が並びなかなか壮観である。北端で鍵曲りとなっており、その先で間もなく町並は途切れる。現在残る建物は当時そのものと思われる物はほとんどないが、鮮やかな赤褐色の屋根に統一された家並は、一部に2階建てはあるが、平屋が多く、貧しい山間の宿場の情景が浮ぶ。軒庇に瓦を載せたため一見中二階に見えるものもある。
 各家にはほとんどに「屋号」が掲げられ、今でも旅館の看板を掲げている民家も数軒目に入る。郵便局や小学校、大きな山門を持つ寺もあり、一応一つの村としての機能は充足されているが、人通りはほとんどなく、集落の背後には浜田自動車道の高橋脚がそそり立ち、そちらの往来は盛んなようであった。


訪問日:2002.05.19 TOP 町並INDEX