三重県大山田村【宿場町】 地図 <伊賀市> 町並度 6 非俗化度 9 −伊賀街道の宿駅− |
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上野盆地の外れ、旧大山田村域の東部に平松の集落がある。 この平松村には上野から津へ城下町を結ぶ古くからの道が通っていた。江戸時代津藩主は上野城に城主家老を置いていたが、藩主の伊賀巡見の時にはこの伊賀街道を通ることが多く、上野城の家老が平松まで迎えにあがるのが通例となっていたという。 伊賀・伊勢を代表する城下町を連絡する街道であったため、この平松宿には本陣も指定されていた。東には難所長野峠を控えていたので、一般の旅人もここで投宿するものが多かったのだろう。 |
中央部に残るこの妻入り町家が印象的な旧平松宿 | |
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旧平松宿の町並はほぼ一直線の街路に沿って、今でも明確に街村の形が残っている。家並が続くのは500m足らずの間だが、伝統的な建物の比率が高く、古い町並として申し分ない家々を残していた。中でも中心付近にある妻入りの大きな建物はかなり存在感のあるもので、この町並の印象の多くを占めるものである。その大柄さから明治以降もかなりの間旅館として営業されていたと思われ、二階正面には木製の手摺がつき、軒屋根の上には亀や鯉、七福神などの意匠が見られた。塀で囲われた広い敷地を持ち、門も厳かだ。この旧宅の外観を拝見するだけでもこの町を訪ねる価値はある。 背の高いのはこのお宅だけで、他は中二階形式が守られ、江戸時代に遡る建物もあると思われる。短い距離に街道集落らしい連続性を凝縮して見せてくれる町並である。 伊賀街道は現在の国道163号線に引継がれているが、昭和55年にこの平松宿を迂回する形でバイパスが建設されたため、現在地元の方の車以外通行がなく、集落内は静けさが保たれている。しかしそれまでは上野と津を結ぶ幹線道路であったわけで、このような古い町並が純度の高い状態で残っているのはよほど運がよかったといえよう。 町の西入口付近に平松宿の簡単な紹介板があるが、家々は全く散策客の訪れを意識しておらず、全く自然体の集落である。土産物屋は無論のこと、看板を掲げたような店舗の一つもない町並で、渋い銀色に光る屋根並もあって、渋い町並風景が連なっていた。 |
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訪問日:2010.10.06 | TOP | 町並INDEX |
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