宮前の郷愁風景

三重県飯高町<宿場町門前町> 地図 <松坂市>
 
町並度 5 非俗化度 10 −神社前に展開した和歌山街道の宿駅−









宮前の町並
 

 伊勢平野に流れ下る櫛田川を遡ると、平野が次第に狭まり両側に徐々に丘陵が迫ってくる。奈良県との県境には高見峠が控える。
 この谷筋には古く和歌山街道(大和・紀伊側からは伊勢街道)が通っていた。伊勢へ向う信仰の道は数多く開かれ、放射線状に伊勢宮に向っていたが、この街路は参勤交代や潮岬をまわる海路輸送の短縮にも使われていたようで通行も頻繁だったという。
 宮前は宿駅が設置され、紀州藩の要人のための本陣が置かれていた。また旅籠が8軒存在したという記録もある。もともと滝野宿という宿駅名であったが、神社前に街村が立地していたことから宮前という俗称が後に村名として残った。事実現在でも花岡社と呼ばれる神社の門前集落といった趣が感じられる。
 神木のような背の高い木々を背景に、街道上に間口の広い町家建築が土蔵を従えているさまはなかなか絵になる。近代になってもある程度町の中心であったらしく、商店や旅館の名残のような建物も見られた。小さいながらなかなか厳かさと格式を感じることの出来る町並だ。
 この門前の家並とはやや離れた位置にあるが、北東に国道166号線から入った東西の街路にも趣の感じられる家並が見られた。石積の上に土蔵を従えた邸宅も見られ、短い距離ながら古い町並の風情を濃く漂わせる道筋であった。
 
 




宮前の町並

訪問日:2010.10.11 TOP 町並INDEX