飯坂温泉の郷愁風景

福島市飯坂町【温泉町】 地図
 
町並度 5 非俗化度 2 −奥州三名湯の一つ−





 福島市の北西部、丘陵地に展開する飯坂温泉は著名な温泉地で、12世紀頃には既に温泉場として利用されていた記録があるという。
湯町の町並




東滝ノ町の旧堀切邸 湯町の町並 右は共同浴場・鯖湖湯




湯沢の町並


 摺上川の谷間とその背後の土地に温泉街が広がっているが、中心は湯町付近で、代表的な共同浴場・鯖湖湯がある。松尾芭蕉も奥の細道の行脚中に宿をとったのはこの付近とされる。付近は周囲より地盤が低く窪地となっており、このあたりの泉温も最も高くなっている。現在、摺上川沿いに大型旅館が立地しているが、大正の頃まではそのような光景はなく、この付近に湯屋と呼ばれる公共の浴場が存在していた。
 交通の整備に伴い、近隣のみならず県外の客も訪れるようになり、昭和初期に福島市街地から鉄道が通じたことで県内の一大温泉観光地として発達した。
 福島交通の列車で福島駅から20分余り、また東北自動車道のICからも近く、多くの宿泊客・入浴客を迎え入れる。宮城県の鳴子・秋保温泉とともに奥州三名湯として知られている。飯坂温泉駅は摺上川に突当るように位置し、対岸には大型のビル旅館が林立しており、賑わいの象徴を感じさせる。ただ、これらの建物群からは昭和の大規模温泉街といった風情も感じられ、今となっては新しい感触のレトロ感を醸し出しているようにも思う。
 一方で歴史の古い共同浴場・鯖湖湯付近には伝統的な外観の温泉旅館も見られ、風情を感じることができる。この界隈から程近いところには、江戸時代大庄屋を勤めていた堀切家が、塀を巡らした威厳を感じさせる佇まいを見せている。




摺上川沿いの大型旅館 昭和の大型温泉街といったイメージである

訪問日:2015.09.22 TOP 町並INDEX